©Lam Duc Hien

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。

©Lam Duc Hien

   その国で暮らす人々の生活の質や発展の程度を示す指標である人間開発指数において、2011年、187か国中、最下位である187位にランキングされたコンゴ民主共和国。その順位が物語るように、開発という観点で考えた時、世界で最も貧しい国の一つです。

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。
©Lam Duc Hien
   増え続ける首都キンシャサの1000万人近いと言われている全人口のうち、約半数が15歳未満の若年層であると推定されています。状況が悪化の一途を辿るこの国の中で、最も苦しい生活を強いられているのは、子どもたちです。

   現地のNGO(REEJER)がおこなった2006年の調査では13,877人だった首都キンシャサのストリートチルドレンの数は、2011年の調査では 20,341人にまで膨れ上がっています。路上で生活する少女のうち、性的暴行を受けたことのある少女は10人中8人。しかし、彼女たちには暴力を受けた恐怖を、体調の変化を、そして、ただただ不安な気持ちを相談できる相手さえいないのです。

  世界の医療団は2004年以来、ストリートチルドレンケアセンター(BSS)の運営を通して、路上で生活せざるを得ない少女と彼女たちの赤ちゃんを安全に保護し、希望と人間としての尊厳を持って生活できるよう、総合的な支援を提供しています。支援内容は、心身両面の医療支援、性感染症などのリスク、避妊法や妊娠や出産についての知識を広めるための勉強会の開催、職業訓練、夜間巡回など、多岐に亘ります。

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。
©Lam Duc Hien

【2011年の活動、及び、実績】

■夜間にBSSを利用した少女数:8,240名(1日平均22名)
■BSSを利用した少女たちの延べ人数:19,440名(1日平均53名)
■医療相談・診察の受診者:15,319名
■性感染症、妊娠・出産などについての相談の受診者:1,352名
■性感染症、妊娠・出産などについての勉強会への参加者:計21,171名
(うち、BSS内での勉強会参加者:1,274名
移動車を使ってセンター外で開催した勉強会への参加者:19,897名)

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。
©Lam Duc Hien

キンシャサの子どもたちに
健康、自立、そして、希望ある未来を。


   一時的に少女たちを保護するだけでは、問題の根本的な解決は望めません。例えば、職業訓練を実施することで、少女たちは自立することができ、路上生活から完全に脱出することができます。実際、BSS内で実施されている職業訓練は大きな成果をあげており、ストリートチルドレンとして保護された少女たちのうち、訓練を受け、心理カンウセラーとして活躍している少女は91名、保育士として働いている少女は40名にものぼります(2011年末現在)。

  2004年から長きに亘り継続しているこのプロジェクトにはまだまだ課題が残っています。例えば、センターを訪れた幼い妊産婦のうち、HIV検査を自主的に受診する少女の数は少しずつ増えてきてはいますが、依然、検査をこばむ少女も多くいます。HIVや性感染症についての知識、避妊法についての知識を更に広めるため、BSS内、移動車を使った勉強会をより頻繁に開催し、より多くの子どもたちに参加してもらうことが必須です。

「世界で最も貧しい国だから。」「路上だから。」それらは治療を受けられない理由には決してならないはずです。
©Lam Duc Hien

  世界の医療団、パートナー団体、現地のNGO、国連団体などが一丸となり、持てる力を尽くし、日々できる限りの支援活動を実施していますが、ストリートチルドレンは増え続けており、この国の子どもたちの生活には改善の兆しが見えません。私たちは、2014年までの3カ年計画を立て、BSSでの少女たちの保護に加え、国への訴えかけを強化し、施策の実施へと繋げることで、根本的な状況の改善を目指します。

  皆さまにこのレポートをお届けしている今も、暴行の恐怖におびえ、暗い路上で息をひそめて生活している少女たちが居ます。世界の医療団は 今日もこれからもキンシャサで活動を続けます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新記事

参加する

世界の医療団は皆様からの寄付・
ボランティアに支えられています。