大槌病院(仮設)は震災から3ヶ月半後の昨年6月末、山田病院(仮設)は震災から4ヶ月後の7月初めに、それぞれ津波被害のなかった高台に建設され、診療を開始。以降、内科、外科、整形外科を中心とする診療を町住民のために行っています。大槌町の人口は約13,200人(平成24年4月30日現在)。山田町は約17,300人(平成24年5月1日現在)。両病院ともに毎日90人前後の患者が病院に通っていますが、病院設備の中にCT診断装置がないため、診断を要する患者は設備のある釜石病院や宮古病院まで診断を受けに行っています。足の不自由な高齢者も多いこの地域では、ともに本数が少なく、乗り継ぎが必要なバス便による往復2時間の通院を余儀なくされるなど、通院時の足の確保が大きな問題となっていて、病院と町住民の双方から強く同設備の設置の要請が強くあったため、今回のプロジェクト実施に至りました。
画像装置関連産業界がCT装置本体を提供し、世界の医療団がCT装置本体を設置するCT室の提供ということで、世界の医療団はこの3月に建設工事会社に設計を依頼し、その設計書にもとづく工事を4月初めから開始いたしました。
大槌病院、山田病院ともに工事は順調に進んでおり、CT室完成後の竣工検査を経て、世界の医療団から岩手県医療局へ寄贈され、6月はじめにCT装置の試運転が開始される見通しとなっております。
両病院の事務局長によると、この見通しに合わせ、町内診療所や町広報を通じて町民の方々にCT診断が開始される旨、周知をはかっていく予定とのことです。
以上の進捗状況から大槌病院、山田病院におけるCT建屋の完成・引き渡しが無事終わり、地域住民に対する一連の医療システムが、CT診断が可能となることでつながり、地域医療の復旧に大きく貢献するものと期待されます。
東日本大震災被災地 プロジェクトオフィサー 玉手 幸一
写真1:工事中の大槌病院CT建屋。CT装置本体の荷重(1,220kg)に耐えられるように鉄筋コンクリート製の基礎が造られ、建屋工事のための足場を築いているところ。
写真2:大槌病院のキュービクル(高圧変電設備)工事。大槌病院にはCT装置稼働に必要な高電圧設備がないため、新たに設置が必要となり、建屋建設に併行して工事が進められています。
写真3:工事中の山田病院のCT建屋。CT装置本体の荷重(1,220kg)に耐えられるように鉄筋コンクリート製の基礎が造られ、基礎周辺の土の埋め戻しを行っているところ。
写真4:工事の進捗状況確認(大槌病院・山田病院)のため、岩手県医療局の技師と現場を視察。車両は大槌町でこころのケア活動に主に活用させていただいているプジョー3008(プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社様より世界の医療団に寄贈された車両)
(写真撮影日はいずれも平成24年4月27日)