一旦は危険な自宅から逃れ、避難所で生活していた人々の中でも、避難所での環境に馴染めず、2階部分だけは津波の被害を逃れた家に戻った方もいると聞く。また、直接の津波被害を受けなかった方でも、親戚に部屋や物資を提供したり、仮設に住む親せきを支えたり、いろいろな苦労がある。
医療チーム・運動チーム活動が進む中、それぞれが体験した生活の変化に適応しようとする住民の葛藤が見え隠れする。
今回のレポートは、避難所があった時期から現場活動に携わる看護師から。
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岩手県大槌町周辺は冬本番を迎え、手袋なしではしびれるような外気によって仮設住宅の水道管やトイレの水が凍るような日も珍しくない。北国仕様に建築された住宅なら大きな問題とならないのかもしれないが、仮設住宅は設備が不十分なところが多く専門業者は対応に追われているとのことだった。仮設住宅だけではない。津波の被害に遭いながらもかろうじて住める状態の自宅に住む人々(在宅避難者)の多くもまた不十分な防寒設備に大変な思いをしているかもしれない。
私たち医療チームは、「こころのケア」の一環として、心の状態と切り離せない不眠の問題を被災された方々に理解していただき対処を身につけていただければと「眠りのコツ講座」を大槌町社会福祉協議会と共同開催しているのだが、在宅避難者の心身共に大変な状態が表面化し始めた。
まだまだ十分ではないが、公私ともにサポートが入りつつあり2月からは仮設集会所を管理する地域支援員なども導入された仮設住宅にくらべ、在宅の方については行政もまだサポートのニーズを把握できていない状況であるという。そのため、支援を待っていても来る状況ではなく、支援を求めたくても仮設住宅の方に遠慮をしてしまう場合もあるようだ。
先日、私たちの活動を見学しに被災地に初めて入ったある医療者から、「病院で働くように待っていてもだめなんですね。自分たちで見つけ行動していかなくては。」との感想があった。私もあらためてそのことを実感しこれからの活動につなげていこうと思った。
看護師 関本ふみえ