2017年の活動開始からもうすぐ3年。
2016年、4年ほど前に行った事業開始前調査の際にパートナーである県・郡保健局から「もう何年もの話だけど、以前やっていたプロジェクトは村人にも喜ばれたし、いい結果も出せてよかった」というような言葉をたびたび聞きました。その度に、詳細を聞き取ろうとしましたが、回答は一様に「一緒に活動していたが、詳細はその支援団体が実施管理していたから知らない」というものでした。
ドナーともなる支援団体がいなくなってしばらくすると多くがストップしてしまう、そんな経験を繰り返してきたことがうかがえました。その理由が経済的な支援がなくなったことにあることは間違いないでしょうが、それだけでなく予算化を含む具体的な計画・実施方法を受け継ぐキャパシティに限界があったのかもしれません。
世界の医療団も、もちろん初めからこの事業における「サスティナビリティ」が何であるか、それを担保するための完璧な方法は知りませんでした。
この3年間で取り組んできたことは、実施管理委員会やその他会合の度に、この事業における「サスティナビリティ」とは何かを問いかけること。そして、具体的に誰がどのように動くことで活動を動かしていく仕組みができていくのかを議論してきました。同時に、各活動開始前にはパートナーに準備や予算化をリードするよう依頼。また具体的に活動関連支出をパートナーに報告してきました。
最初の頃は活動準備に関するパートナーへの負担について、彼らから一度ならず不平も聞きました。しかし3年目を迎えた2019年には、養成した郡保健局・病院トレーナーたちが世界の医療団スタッフとともに、スーパービジョンや研修の準備・実施を抵抗なく進めるようになったどころか、逆に世界の医療団に要望を積極的に伝え、それを実現するための時間や労力を惜しむことがなくなりました。今にして思えば、活動をリードしていく自信が育ってきたことの表れだと思えます。
2019年3月に行った内部活動評価は、パートナーからの強い要望と共同作業のもとで実現しました。そして、評価結果を事業の残りの期間に活かすための活動計画ワークショップでは、みなが自問自答し、互いに意見を出し合い、積極的に関わっていく姿が見られました。
もちろん、事業管理能力や評価モニタリング能力はまだまだ不足しています。
活動評価に関しては、データ収集から分析までパートナーだけで実施することは難しいのが現状です。また、子どもの健康に関する指標、例えば5歳未満児の死亡率などを下げなければならないプレッシャーは大きく、それゆえに注目度は高いのです。なぜその結果だったのか、つまり死亡率を下げるための医療スタッフや村のキーパーソンのアクションに対する反省が軽視されがちであったのは、各アクターのアクションを促す仕組みの管理にやはり課題があるからだと言えます。
今後、3年間の事業評価をしていくことになります。そこで出てくる反省は、世界の医療団がこの3年間で十分な支援ができなかったことでもあるのです。
結果については、パートナーと率直に話し合い、次の数年間パートナーが考えるサスティナビリティを突き詰めそして実現するための活動を、世界の医療団がともに発展させていければと思っています。
ラオス小児医療強化プロジェクト
現地事業責任者
熊澤 幸子
*本事業は事業資金の多くを外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2017年2月より活動を展開しています。
*これまでの「ラオス小児医療強化プロジェクト」活動記事はこちら