世界の医療団では、3月の震災発生以降、岩手県大槌町を拠点に精神科医や運動プログラムの専門家を派遣し、被災者の方々のメンタルケアを行う支援活動を行って参りました。今回の運動プログラムは、体力医学研究所が主体となり、4月より同地域を中心に、6月まで継続的に被災地にてプログラムを実施してきました。一度、継続的な活動は終了しましたが、11月に、被災地の方々から同研究所による運動プログラムを再開してほしいとのリクエストがあったことから、運動プログラムの継続の方法について住民らと検討会をもち、中長期的プログラムを開始することとなりました。
この運動プログラムは、年齢を問わずひとりひとりの健康状況、身体能力に合わせた体の動かし方を知って実践するものです。具体的にはラジオ体操、タオル体操、ボールを使ったバランス運動の他、スローステップ、ウォーキング、ヨガ等、ひとりひとりにあった体の動かし方を、学び実践することで、「心身の健康増進」に役立つばかりでなく、人と人とが触れ合う場を設けることにより、「地域の絆の再生」の一つとなるものと考えております。
体力医学研究所の調査によりますと、同年代と比較して体力が最も優れていたグループと同年代より体力が最も衰えていたグループとを比較(60歳以上の男性148名を6年間追跡調査)した結果、後者は介護と死亡のリスクが約5倍高くなることが分かっています。また定期的な運動が抑うつの発症の軽減に関係するとの研究もあり、体を動かせば「心」まで元気になるとされています。よって、被災地における運動プログラムの導入により、被災者の健康管理、精神的ケアとの相乗効果がみられると期待しています。
来年1月以降、世界の医療団では12月23日(金)の大槌町赤浜地区での実施を皮切りに、月に2回(各3日間)のペースで同プログラムを実施し、ニーズ次第で実施地域を広げて参ります。また親子体操・親子ヨガの専門家らも参加し、親子で気軽に参加できるプログラムも企画中です。同時に被災地での健康増進活動を推進している皆様のためのスキルアップのお手伝いをしていきたいと考えており、一緒に「運動の場づくり」に参加したいと考えます。専門家により、運動の方法やノウハウを現地の指導者にお伝えすることで、現地に世界の医療団の運動専門家チーム(体力医学研究所から派遣)による訪問時に限らず、日常の生活の中で運動プログラムを気軽に取り入れて頂き、被災者の方々にとって長期に渡る健康増進につながることを目指して参ります。
<お問い合わせ先>
報道関係の方: 世界の医療団 広報:片岡英彦 メール:kataoka@mdm.or.jp 電話:03-3585-6436
<世界の医療団について>
1980年にフランスで設立。現在は14ヶ国に事務局組織を持つ国際ネットワークです。2010年は78の国と地域で、356のミッションを展開しました。医療・保健衛生分野の専門家ボランティアが中心となり、国籍、人種、民族、思想、宗教などのあらゆる壁を越えて、世界で最も弱い立場にある人々に支援の手をさしのべる活動をしています。世界の医療団 日本の設立は、1995年阪神・淡路大震災の際、フランスから緊急支援に駆けつけたことが契機となっています。