ギリシャ:財政危機の犠牲にされる医療の現状

ギリシャ:財政危機の犠牲にされる医療の現状

医療は、手の届かない贅沢品?


特に深刻な打撃を受けているのが医療分野である。公的医療機関の場合、患者が一回の診療ごとに負担する額を一律5ユーロと定めている。「ひと月の収入が350ユーロ以下の退職者にとってこれは大きな負担です。数回の通院を余儀なくされる場合は尚更です」とMDM国際ネットワークの書記長ナタリーシモノは指摘する。「その上、在庫切れという理由から、患者に対して包帯、注射器、ガーゼ等を自己負担で購入するよう求める医師もいますから。」


次第に追い詰められるギリシャ国民


貧しい人々は医師のもとで治療を受けることを諦め、これまで外国人移民や亡命希望者の救援活動に携わってきた世界の医療団のような組織に援助を求め始めた。「昨年は2万人に援助の手を差しのべました。今年は既に3万人に達しています。そして今年の特徴は、我々の総合クリニックを訪れるギリシャ国民がこれまでより30%増加しているということです」 ギリシャの国内プログラムを担当するコーディネーター、クリスティーヌ サマルチはこのように報告している。検診を一切受けずに妊娠期間を過ごす数多くの妊婦たち、病気に苦しむ子供たち、必要な予防接種を受けられない児童、収入の道を断たれた退職者、給与の減額を宣告された公務員、等々、多くのギリシャ国民が追い詰められた状況に置かれている。


医療の枠を超えて、人々の基本的ニーズと向き合う


アテネの北、ペラマ総合クリニックのボランティア医師のひとりが力説するように、状況は悪化するばかりである。「今後私たちは子供たちに栄養成分が強化された食料品を配ります。貧しい家庭では最早対処できなくなっているからです。栄養失調の症状も多数確認しました。」

MDMは初めてスーパーマーケットに出かけて主要食材:パスタ、米、ミルク等を買い集めることになった。衣類に関しては、寄付を募り、集められた衣服を再配分する意向である。


常に誰よりも不安定な生活を強いられる移民たち


多くの移民が押し寄せるギリシャの場合、彼等の生活条件はとりわけ深刻である。ギリシャはヨーロッパに生活の場を求める移民たちを多く受け入れてきた。港町パトラスでは、にわか作りのキャンプが倍増し、人々はゴミの山に囲まれて暮らしている。彼等は貧困と暴力を逃れるために国を離れ異国の土を踏んだ、しかし待ち受けていたのは苦難の連続と暴力的な取り締まりという自国以上に厳しい環境だった。 危機に蝕まれた国に未来は無く、故郷に帰る手だても見出せない移民たち。このような状況の下で唯一彼等に対して医療アクセスへの道を開いたのがMDMの巡回バスだった。


ギリシャにおけるMDMの活動


– 総合クリニック4ヶ所 (アテネ、北部郊外の住宅地、テサロニケ、クレタ島)
– 歯科専門のモバイルクリニック1ヶ所
– 眼科専門のモバイルクリニック1ヶ所
– 移民を対象とするモバイルクリニック、パトラスとテサロニケの計2ヶ所
– ロマ族(ジプシー)を対象とする二つのプログラム、アテネ郊外の住宅地及びテサロニケの2ヶ所(診療とフォローアップ、児童の予防接種を含むプログラム)

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