「口蓋裂の患者さんを優先して手術して欲しい。」
そう言うのは世界の医療団マダガスカルで働く現地医師。 彼女はそのために、手術が必要な患者を集め、効率的に診察・手術の予定が組めるように素晴らしいコーディネートをしてくれる。
今回は、4日間という短い期間であったが、26件ほどの手術を行った。
そのうち現地医師が希望した口蓋裂の手術は半数近くの10件ほど実施できた。
難しく時間もかかる手術であり、また術後のケアも注意を要するため、医師一人につき1日最大3件程度しかできない。
小さな子供達の小さな口の中の手術。手術を行う医師にも、かなりの疲労をもたらす手術である。
全身に火傷をおったアンドリアニアイナは29歳の青年。彼は昨年も来院したが、残念ながら手術はできなかった。「来年ね」といった私たちの言葉を信じて今年また来院してくれた。私達が昨年の彼だと気付くと、彼も「覚えてますよ」というように頬笑みを返してくれる。
今回は、火傷でなくなってしまった右の小鼻の形成を行った。植皮の手術だったので、結果は見られず。気に入ってくれただろうか?
もう一人の患者はサブリナ。
彼女も顔全体に火傷をおい、目は完全には閉じられず、唇も原型をとどめず、首も回らない状態であった。今回は局所麻酔で下唇の形成を行ったが、通訳でついてくれた麻酔科医師も手術を見て自分のことのように喜び、患者のサブリナが訊ねる前に「ドクター、来年は上唇をやってくれますか?」と。
また来年ね、という言葉を信じて再来してくれる患者、そんな患者が少しでも多く手術を受けられるよう尽力し、大切な家族のように扱う医師達。
こうした彼らと接するたび、スマイル作戦はなくてはならないミッションだと実感し、また彼らのために戻って来なければと強く思わされる。
活動地域:マダガスカル アンタナナリボ市内
日程:2011年7月31日(日) 〜 8月6日(土)
診察件数:56件
手術件数:27件
看護師 原田昌子