70万人を超えるロヒンギャの人々が避難するキャンプでは、昨年よりサイクロン・雨季・モンスーン対策が進められています。そのため、シェルターが建つエリアではある程度地盤が固められていているのですが、そうでない、土地を切り崩して作った道路沿いなどでは土砂崩れが発生しています。先週もロヒンギャボランティアが、崩れた土砂をはける作業を行っていました。この辺には亡くなった方の遺体が埋められている場所もあり、今後の天候の影響が心配です。
キャンプ内の高低差がある場の歩道には、土のうで階段が設けられていますが、ここも水気の多い土がかぶさり、とても滑りやすくなっています。地盤固めのために頭に土を載せて運ぼうとしているこの少年は、この階段で転倒してしまいました。
ぬかるみとごみなどが混ざり、衛生面もよく良くありません。
モンスーンの影響で、7月5日から10日にかけて1,000mmの雨が降ることが予想されています。
また、コックスバザールの街からキャンプに向かうまでの道のりも暴風雨の影響を受け、我々がキャンプへ活動に向かうこと自体が日々の課題になっています。
これまで使用してきた道路が工事中であることから、現在、支援団体は主に2路線の迂回路を利用してキャンプへ向かいます。ひとつは浜辺を走るルートで車がぬかるみにはまりやすく、もうひとつは常時どこかで道路工事が行われており、更に雨による水没箇所が多いルート、キャンプで活動する支援団体がキャンプに行くことさえも困難な状況です。
世界の医療団は2017年12月よりキャンプで活動を続けています。バングラデシュ人とロヒンギャで混成されたコミュニティ・モビライザーとロヒンギャのユースが予防接種の役割、感染症への予防と対応、応急処置を必要とする怪我への対処法、家族計画や安全な妊娠と出産、災害対応などを中心に保健衛生・防災教育を行っています。
2017年8月の大規模避難から3年、長期化する避難生活のなか、住民ひとりひとりが保健衛生や防災に対する意識を高め行動につなげることでコミュニティ・レジリエンスが強化される、ー それは生活面の改善だけでなくロヒンギャの人々の心身の健康にもつながる、と信じ、活動を続けています。
©Kazuo Koishi