世界保健デーの4月7日、今年のG8・G20の開催国であるフランスの首都パリでは、世界の医療団による「La santé n’est pas un luxe !(健康は贅沢ではない!)」をテーマとしたキャンペーンが繰り広げられた。医師や担架を運ぶ豪華なリムジン救急車、レッドカーペットの上に置かれたショーウィンドーの中に飾られている金色の保険証、聴診器、薬・・・。ユニークかつ挑発的ともとれる方法で、「医療はお金のある人たちだけのものか?」という問いを、道行く人々にも投げかけた。
WHOの調べによれば、毎年1億人もの人が医療費の捻出のために貧困へと陥っており、サブサハラ地域のアフリカ諸国では、医療保険を受けている人は1割未満という結果が出されている。また、一日に約1000人の女性が妊娠や出産によって引き起こされる合併症によって死亡しているが、その中のうち、570人がサブサハラ、300人が南アジアで生活しており、1000人のうちわずか5人が経済的に豊かな国に住んでいるという報告がある。一方、経済的に不安定な国だけでなく先進国とされている国でも、個人や国の経済状況によって、受けることのできる医療の差の開きが顕著になってきている。
こうした現状を受け、「万人のための医療」が実現するよう、G8・G20を前に先進国の政策決定者へと呼びかけることがキャンペーンの狙いである。なかでも、世界の医療団も取り組んできた、医療へアクセスするための障害となる医療費の引き下げ・無料化や、人材不足が深刻な地域の医療従事者の育成のための協力・支援について、国際機関や国家間協力を通じて行動を起こすための方針がG8・G20で示されるよう要求している。