あるNPOの方から、いわき市の遊休農地・耕作放棄地を減らすために、和綿を栽培している「コットンプロジェクト」に関するお話がありました。趣旨に賛同する若い人たちが、移住して来て参加しているそうです。またこの方から、双葉郡の医療機関マップをシェアしていただきました。残念なことに、眼科・耳鼻科・皮膚科などの専門診療科がまったくありません。子供を連れた方々にとっても、小児科が少ないという心配があります。
実際に、目の病気で治療する必要のあったご高齢の方を、富岡町からご家族が50km離れたいわき市まで連れて行ったというお話を聞きました。
別のNPOの方からは、生活困窮者に関するお話がありました。農業などの生業を再開したくてもできない、作っても買い手がいない、かといって就労できない、そして引きこもるという方も多いようです。また相双地区では、いまだに家族が別々の場所に暮らしていることも多く、男性・女性を問わず単身で生活に困っている方もいらっしゃるようです。南相馬市でも同様の話を聞きましたし、またこの方から、生活困窮者向けのフードバンクを立ち上げて運営しているとのお話も聞きました。富岡町は、2017年4月1日に一部の帰還困難区域を除き避難指示が解除されています。現在の町内居住者は1,043名(6月1日現在帰還率8%)ですが、帰還後も生活に様々な支障を抱えていらっしゃると感じました。
そのような中、世界の医療団の活動は続いていますが、住民に対するこころのケアを継続しつつ、住民を支援する自治体の職員、社協の生活支援相談員、NPOのコミュニティ相談員に対する「支援者支援」へと移行しつつあります。双葉郡でも富岡町と川内村での活動を、本年度は支援者支援として行っていきます。
今回、双葉郡8町村が震災発生から現在までの情報を独自に発信する「ふたばいんふぉ」でご紹介いただいた、環境省が運営する特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」を訪ねました。特定廃棄物とは、放射性物質に汚染された廃棄物(10万㏃/kg以下)を指します。施設では、放射性廃棄物を埋め立て処分するまでの過程を詳しく説明しています。環境に影響を及ぼさないようシールド処理されていることは理解できました。ただ、一日に搬入できる量はトラック65台分と限られています。これに対して、まだ行き場の決まらない中間処分場には一日にトラック2,500台分の廃棄物が搬入されていますから、放射性廃棄物の処理完了には膨大な時間を要することが容易に想像できます。
大川 正祐
福島そうそうプロジェクト・川内村こころのケアプロジェクト コーディネーター
この活動のための資金の多くをジャパン・プラットホーム様「共に生きる」ファンドより、ご提供いただいております。