東日本大震災: 現地医療活動レポート1(4月8日)

精神科医、看護師、リラクゼーションの専門家などからなる世界の医療団の8人の「こころのケア」の専門家チームは岩手県大槌町の避難所と個人宅を巡回し支援活動を行っています。

東日本大震災: 現地医療活動レポート1(4月8日)
大槌町は釜石市に接し、人口およそ1万5千人の港町です。人口が集中する市街地は海沿いに発達し、津波により壊滅的な被害を受けました。津波は海岸から8キロにも及ぶ地点まで到達しています。車が通れるほどに片付けられた道の両脇には今も瓦礫が山となり、かろうじて輪郭を残している建物も、2度と使用することはできないほどに損壊しています。

4日8日現在で577人の死者が確認されました。震災対策をたてるため役場で会合を開いていた町長を始め、町の復興をけん引するはずの役場の職員も多くが犠牲になり、残された職員が山積する課題と刻々と変わる状況に文字通り不眠不休で対策にあたっています。現在、9000人近くの人々が40~50箇所の避難所や家族や知人宅に身を寄せています。

世界の医療団は岩手県の精神保健福祉センターとの緊密な連絡の元、大槌町を管轄する釜石市の災害医療対策本部と毎夕、保健師のチームとは毎朝、ミーティングを行い、地域全体の保健医療を支えることに尽力しています。

被災から4週間を経た今、「こころのケア」では、精神科医による面談や診療に加え、話を聞く「傾聴」や、マッサージやリラクゼーション体操などで体をほぐし、心を楽にすることもまた重要です。被災者の邪魔や負担にならないように声をかけ、発される言葉に丁寧に耳を傾けることから私たちのコンタクトは始まります。今後の生活の見通しがたたず不安を訴えるものの、「大変なのは自分だけではない」、「自分はまだ平気」といった声もよく聞かれています。続く余震への恐怖、これからの生活への不安、親しい人を失った悲しみに心が打ちふさがれるのは人として当然のことであり、その傷が悪化していかないように、今、出来る限りのことをして、被災者を支えています。

これら続く長い長い復興への道、世界の医療団の「こころのケア」チームは被災した人々、それを支えようと必死に働く人々の心を支え、被災地の新しい未来をともに築いていきます。

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