photo:Fernando Moleres
また同じくスペイン出身の写真家Javier Arcenillasがラテンアメリカの暴力をテーマにした作品で、イタリア出身のRicardo Venturiが2010年1月のハイチ大地震の惨状を伝える作品で優秀賞を受賞しています。
尚、14回目となる今年はマニュアル・カラー社(スペイン、現像技術)の協力の下、開催されました。
最優秀賞『アフリカの刑務所の小さな囚人たち』は、シエラレオネの刑務所で2010年2月から8月にかけて行われた意欲的な撮影プロジェクトの一部です。囚人で溢れ、正常に機能しているとは言い難い同国の刑務所システムの実態を、Moleresの写真は静かに、けれども鮮烈に告発しています。中でも、軽犯罪で投獄された少年たちは、極めて劣悪な環境で最も弱い立場に置かれ、彼らと対峙した写真は見る者の心を激しく揺さぶります。また、Moleresには副賞として、世界の医療団が活動するいずれかの地域で撮影プロジェクトを行うための奨励金として8,000ユーロが授与されました。
40点の受賞作品を展示する写真展は、2011年1月にバルビオの複合文化施設「Alhondiga」での開催を皮切りに各地を巡回(*注)します。
次回、第15回コンクールへの作品応募詳細は2011年秋に告知予定です。日本からも多くの写真家が本コンクールに応募されることを願っています。
(*注:日本での写真展開催は未定です。)
『Luis Valtuena人道主義写真コンクール』とは
1995年にボスニア、1997年にルワンダでの活動中に殺害された世界の医療団の4名のボランティア、Luis Valtuena、Flors Sirera、Manuel Madrazo、Mercedes Navarroの4名を追悼し、世界の医療団スペインが1998年から毎年開催する写真コンクール。4名の内、生前にプロのカメラマンとして活躍していたLuis Valtuenaの名が本コンクールの名称となっている。初回から開催14回目を数える今では、世界的に見ても、人道写真分野を代表するコンクールへと成長し、希望に溢れながらも時にぞっとするような、そして、だからこそ無関心ではいられない様々な現実を広く知らせるという役割を果たしている。リアルな今の世界を伝えようと、応募作品は毎年、枚挙に暇がない。
第14回コンクール選考委員:Marisa Flores(エル・パイス紙写真編集者)、Jon Barandica(プブリコ紙写真編集者)、Juilien Charlon(マドリード貯蓄銀行文化財団写真部門教員)、Begona Rivas(エル・ムンド紙カメラマン)、Javier Arcos(世界の医療団ボランティア)、Yolanda Rodriguez (世界の医療団職員)