Ali(43才)
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今、不安なのは、強制的に帰還させられるのではないかということだ。人権と安全が保障されれば、私たちは帰るつもりだと国際社会に伝えたい。
Shobeer(30才)
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ここでは米、豆、油の配給があって、配給はもちろんありがたいと思っている。でも魚や肉は?仕事もなく、お金もないから買うことはできない。
以前は、クリニックが近くにあったけれど、それもいつのまにかなくなってしまった。治療が受けられないのも困っていることのひとつ。学校も欲しい。子供たちは学校にも行けていない。
ミャンマーへ帰還したい、正当な市民権が与えられるべきだ、バングラデシュの人たちのように、ミャンマーにいたころのような生活ができるようになりたい。
ひとついいかい?君は日本人だから第2次世界大戦に日本と英国がミャンマーで戦ったことを知っているはず。仏教徒とイスラム教徒の戦争になったんだ。その後、ミャンマー政府はムスリムに対して残虐な行為を行い、私たちの土地を取り上げ、市民権を剥奪し、ロヒンギャという民族を消そうとした。日本はこの問題を解決できる力があると私は信じているし、ロヒンギャの人権を保障するよう日本政府にはミャンマー政府に対して働きかけてほしいと思っている。ここで市民権の付与を認めず、ミャンマーに帰還したら付与するという約束は、あきらかに不義理で不当としか言えない。
Dil(63才)

帰還については、不安しかない。ミャンマーには、安全を保障するものも、監視する体制もない。安全と市民権の保障、尊厳あるプロセスのもと、はじめて帰還は実現する。実際、帰還となった場合、IDPキャンプや施設に収容され、そして殺されるのではとみんなが恐れている。バングラデシュ政府や国連は、IDとしてスマートカードを発行しようとしているが、このどこにもロヒンギャという言葉がない。帰還に関する合意書にも、安全や尊厳について何ひとつ書かれてもいない。合意できるわけがない。ミャンマー政府はきちっと書面にして、ロヒンギャという民族を、私たちの人権を保障するべきだ。ロヒンギャは存在している。過去の書類にはきちんとロヒンギャは民族として、認められている。証拠もある。あなたに見せることもできる。ミャンマー政府は家や私たちの生活すべてを破壊した、けれど私たちは今、ここに存在している。
©Kazuo Koishi