各村に配布した生活物資は、寝具、服、台所用品・食器、農具です。衣食住へのストレスを軽減することで、農業で生活を支える村民が、いち早く自立への一歩を踏み出すことを目的としています。各村の状況に応じて準備したため、内容は少しずつ異なります。
例えば、村役場で保管していた村民の農具が流されてしまった村では、今年の収穫を糧に、来年に向けて農具の調達を考え始めていました。そのため、世界の医療団は、村人が共同使用できるよう当面使用できる農具を調達しましたが、残りの農具は村民自身による調達に任せることにしました。
すべての家と家財を失ったある村人は「あらかじめ物資調達の相談があり、必要な家族に必要なものが届けられたことがありがたい。これで、必要なものは一通りそろった。」と物資を受け取った後、安堵の気持ちを伝えにやって来ました。
労働福祉局からの物資配布は、これまでのところ善意の寄付に頼らざるを得ない状況にあり、「誰を対象に何をいつまでに配布する」という見通しを立てることができません。
今回一緒に村々を回った郡労働福祉局長は、村人からの感謝と、配布方法の改善要望の両方を見聞きしており、「村人の意見を尊重しながらの物資配布は、今までになかった」と複雑な心情を話してくれました。
握手する村長(左)と郡労働福祉局長(右)
この村では、家屋が全壊した家族、60%以上の家屋が損壊した家族を優先して、生活物資を配布。次回は「家の損壊度60%未満でも、多くの生活用品を流された家族への支援について検討すること」を村人に説明しました。
また前回、トイレ設置計画を一緒に話し合った村人から、「トイレの穴(*)はもう掘って、準備万端だよ」との報告がありました。(*水洗トイレを設置する際にタンクを埋める穴のこと)
確認に行くと、2.5mほどの穴が見事に完成しており、周りにいた仮設で暮らす住民たちが「酔っぱらって落ちたら、上がってこれないよ」と冗談を言いながら笑っていました。
別の村でも、4人で4日間かけて堀った穴が完成していました。
この様子を見て「資材調達を急がなければ」という思いが沸いてきました。支援とは「提供する・受け取る」という一方的な行為ではなく、「相互に前進していくもの」だと、改めて感じた瞬間です。
*本事業は事業資金の多くを外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2017年2月より活動を展開しています。
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