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ラオス小児医療強化プロジェクト:現地活動(医療スタッフ能力向上)レポートVol. 1-3

今回は、2018年5月30日から3日間にわたって実施した「トレーナー研修」についてのレポートです。2017年の活動を振り返った際に、トレーナーとしてのスキルアップの要望があがったため企画された今回の研修は、小児診療技術についての臨床研修や村落健康普及委員会(VHC)向けの研修を担当する県・郡病院や保健局スタッフを対象に実施されました。


県病院や県保健局のスタッフは、日々の業務のなかに、郡病院のスーパーバイザーまたはトレーナーとしての役割があります。また、郡病院や郡保健局スタッフは、ヘルスセンターに対し同様の役割が期待されています。さらに、彼らの役割には、村落レベルでの保健活動の担い手となるVHCメンバーに対する教育も含まれています。このプロジェクトで現在、小児の診療に関する臨床研修や健康普及教育に関するVHC向けの研修を企画・実施する立場にあるのが、県・郡病院や保健局スタッフなのです。しかし、これらスタッフは、トレーナーやスーパーバイザーとしてのスキルを身につけるための学習機会がないことも多く、その結果、テキストを読む・読ませる、パワーポイントで説明する、などの単調な研修になってしまうことがよくあります。また、研修目標の設定、それに応じた学習方法の選択など、企画力も十分ではありません。こういった状況では、受講者は受け身になり、効率的に学習内容が身につかないのです。そこで、今回のトレーナー研修は順序を追って、そして目的にかなった方法を採用できるようになることを目標に企画されました。この研修のなかでの受講者(参加者)としての体験が、研修提供者側に立った時のモデルになることを目指しています。

ラオス小児医療強化プロジェクト:現地活動レポート

グループワーク:発表に向けて真剣に悩んでいます

研修では、2018年に計画している小児診療に関する臨床研修とVHC研修を題材に、グループワーク、受講者全員での質疑応答やディスカッションなどを行いました。
パワーポイント、色紙、模造紙、様々な小道具も使用しながら、学びを深めていきます。参加者はグループワークの続きを宿題として持ち帰り、企画を完成させ、各研修の準備を進めていきます。


研修の感想として、参加者の多くから「研修の目標設定が難しい」との声があがりました。これは、地域保健のリーダーである彼らが、誰とどのように協力して、何を実現したいのかを、まだ具体的に言葉にできていないということだと考えられます。これまでの教育、また、おそらく職場でも言われたことを遂行するだけの状況が多い環境下にある彼らにとっては、目標を設定することは難題かもしれません。けれど、彼らは実践における経験知も高く、地域の状況も誰よりもよく把握している人たちです。だからこそ、現状をどのように変えていきたいのかは、彼ら自身が考えてこそこの事業のSustainability(サステナビリティ)につながっていくと考えています(現地活動(活動計画・事業モニタリング)レポートVol. 3-1参照)。
逆に、ここを突き詰めていくことなしには研修目標には到達できないのです。

世界の医療団は、保健行政に関わる地域の人々や保健局の担当者が挑戦したいことを明確化し、実現するためのアクションを引き続きサポートしていきます。
今回のトレーナー研修の成果は、今後の活動を通じてモニターしていきます。

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MdMのメディカルコーディネーター(右端)がグループ発表後のまとめを行っています




本事業は事業資金の多くを外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2017年2月より活動を展開しています。

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