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ラオス小児医療強化プロジェクト:現地活動(活動計画・事業モニタリング)レポートVol. 3-1

ー2017年実施管理委員会年次総会のご報告ー

2017年度のIMC年次会議は11月に開催され、総勢20名ほどが参加し、活動の振り返りをベースに、2018年度の活動に向けての課題を抽出、課題解決にむけてのディスカッションを行うとともに、アクションプランを作成しました。今回のレポートでは、IMC会議でとりあげられた主な2つの課題と、Sustainability(サスティナビリティ)をめぐるディスカッションについて紹介します。

これまでの現地活動レポートでは、郡病院スタッフやヘルスセンタースタッフ、そしてVHC(村落健康普及委員会)メンバーが研修に参加する様子を報告しました。
これらの活動は、ラオスの母子保健政策・戦略をベースに具体化していったものであり、将来的に県・郡の保健行政の仕組みの一部として、保健医療スタッフの能力向上や村落での健康教育普及が運用されていくためには、計画立案から実施、評価まで県・郡保健局や行政といった関係者の主体的な参画が必須です。関係者とは、本プロジェクトにおいては保健省、外務省、県・郡レベルの保健局ほか行政機関、そして世界の医療団からなるImplementation Management Committee(IMC:実施管理委員会)メンバーを指します。IMCとは、プロジェクトの進捗や実施状況の確認、課題を抽出して解決策を検討する機関です。
2017年度のIMC年次会議は11月に開催され、総勢20名ほどが参加し、活動の振り返りをベースに、2018年度の活動に向けての課題を抽出、課題解決にむけてのディスカッションを行うとともに、アクションプランを作成しました。今回のレポートでは、IMC会議でとりあげられた主な2つの課題と、Sustainability(サスティナビリティ)をめぐるディスカッションについて紹介します。

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会議のファシリテート役 MdMのメディカルコーディネーター(マイクで話す男性)


課題1:コーディネート体制の強化


県保健局のコーディネーターは、県病院を含む保健局内コミュニケーション、県・郡保健局間コミュニケーションを担います。郡保健局や世界の医療団からの提案は、県保健局を通じて合意がなされます。活動を滞りなく進めるためにも、県保健局の役割は重要です。
2017年は県保健局内の体制変更やコーディネーターの交代などが重なり、実施までに時間がかかることもあったため、関係者全員がコーディネート機能強化を望んでいました。これを受け、IMC会議後、県保健局コーディネーターの役割が明文化され、事業内容が密に関わる部署からコーディネーターが任命されるという処置がとられることになりました。その後、2018年の活動計画・準備作業は着実に進められるようになりました。IMC会議で立てられたアクションプランが一つ、実行された例です。


課題2:モニタリング・評価の本格実施


現場活動が年度末まで継続していた2017年のモニタリング・評価は、各アクティビティの結果の振り返りと、国家保健情報システムから得られる保健指標を使用した結果分析にとどまりました。会議では、関係者全員が関心を寄せ、必要と考えているインパクト評価を2018年から本格化することで合意しました。誰が、どのように、インパクト評価を行うのかなど、2018年の計画立案時に話し合っていく予定です。


Sustainability(サスティナビリティ)とは


現在、ラオス国家母子保健戦略にも反映されているSDGsに関連して、Sustainabilityという言葉は本事業関係者にも馴染みになっています。しかし、その認識が関係者間で一致しているとは限りません。そのため、IMC会議では本事業におけるSustainabilityとは何を指すのか、さらにそのSustainabilityを実現するにはどうするか、についてのブレストから始めました。
事業が終わった後、何を残すのか。それは活動そのものの可能性もあり、あるいは、活動の形が変わったとしても、活動によって創られた機能や仕組みかもしれません。
IMC会議では、IMC会議では、Sustainabilityの要として、子どもたちや医療施設を利用する村人に一番近いVHCやヘルスセンターが、主体的に活動に関わっていける仕組みづくりが必要ではないかという意見が出ました。また、「ヘルスセンターや地域保健のリーダーでもある郡保健局が、VHCやヘルスセンターの地域医療における役割を明確化していくように」と郡副知事からの発言もありました。

本事業におけるSustainabilityという言葉が、自分たちで積み上げていくものとして、一定の方向性を持ったように思えた瞬間でした。しかし、抽象を具体化していくこの議論は、活動を進めながら引き続き掘り下げていかなければならない継続トピックです。

今回は、第1回IMC会議のハイライトを報告しました。この会議では、会議参加者が自分の意見を述べ、人の意見を聞き、最終的に、彼らが具体的にどう行動していきたいのか、に話が向かっていくような場になりました。

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参加者集合写真



本事業は事業資金の多くを外務省「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受け、2017年2月より活動を展開しています。

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