市民デモが攻撃された
©Hosam Salem
1948年から49年にかけて、約75万人のパレスチナ人が土地を追われたナクバの日から70年、パレスチナの人々は、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によって難民とみなされた530万人の帰還する権利と彼らの基本的権利の尊重を主張するデモを行っていました。これら市民デモを武力によって鎮圧するイスラエル軍により、抗議活動が始まった3月30日以降、数百人の子どもを含む110人以上のパレスチナ人が死亡、12,270人が負傷しました。また、医療関係者や衛生関連施設も攻撃対象とされ、WHOの報告によれば169人の医療者が負傷、24台の救急車が破壊されました。
ガザは天井のない刑務所
封鎖という囲いの中に住む200万人の男性、女性、子供たち、そこは天井のない刑務所だと称されます。ガザの失業率は45%、11年の封鎖によって経済は壊滅的状況に追いこまれました。
国際社会からの人道援助によって、84%が命をつないでいます。ガザの人口の約70%が極限状態での生活を強いられています。11年の間に彼らはイスラエルとの3度の戦争を経験し、陸、空、海からの封鎖の中で生きてきました。集団罰とも呼ばれるこの封鎖は、パレスチナ人の命や健康に直接の影響を与え、治療や医薬品、飲料水、食糧、電気、自由な移動へのアクセスの障壁となっています。
治療ができない
©Hosam Salem
ガザの病院は、緊急性の高い治療を必要とする患者、手術を待つ患者であふれかえっている状況です。数千人の市民が実弾を受けて負傷、大半が下肢に銃創を負っています。深刻な外傷や血管損傷は、身体的な機能障がいを引き起こします。ですが、医療者も医薬品、何もかもが足りず、医療現場は想像を絶する悲惨な状況が続いています。
封鎖は、病院にも影響を及ぼしています。断続的に続く停電、電力不足、医薬品、医療機器の不足。膨大な数の怪我人の治療を行うことができません。3月30日以降、ガザ地区外への医療移送も不可能になったため、外科的手術が受けられず21人のパレスチナ人の足を切断せざるをえませんでした。
国際人道法違反の事実がありながら、この封鎖という名の集団的処罰は何百万人ものパレスチナの人々の生活に途方もない苦難をもたらしてきました。医療保健サービスは、今回の危機に限らず常に多くの問題と困難を抱えているのが現状です。
– 水質汚染と飲料水の不足は、水を媒介とする感染症蔓延のリスクをもたらします
– 必須医薬品、消耗品は絶えず入手が困難です
– 4時間に限られた電気の供給は、プライマリーヘルスセンターや病院の医療サービスの質の低下を招いています
パレスチナの人々の生命、健康、集会の自由の尊重を
イスラエルは、過度の武力行使を停止し、パレスチナ人の生命、健康、集会の自由を尊重する義務を負っています。医療従事者を攻撃対象とすることは、国際人道法違反行為であり、戦争犯罪です。
「健康であることは権利」であり、尊重されなければなりません。また、一切の手続きや妨害なしに、ガザ地区外での医療アクセスが可能になることを実現させなくてはなりません。
最後に、MdMは、無条件での封鎖解除とガザ地区の閉鎖が直ちに終わりとなることを、欧州連合(EU)に要請します。
世界の医療団は16年以上にわたり、ガザで活動を続けてきました。
日々この壊滅的な状況にあるパレスチナ人に出会い、治療し、活動しています。
医療ボランティア、プライマリーヘルスセンター・スタッフ、6つの病院の救急外来チームとともに、緊急時即応準備や小児外科手術などを含む医療活動を行っています。
現在、ガザ地区において、緊急事態に対応する医療施設の開設準備に奔走しています。一人でも多くの暴力の被害者に、市民に、治療を行うために、みなさまのご支援をお願いします。
©Olivier Papegnies
皆様のご支援でできること
4,000円で⇒治療に欠かせない包帯や医薬品などを提供することができます
8,000円で⇒現場で治療にあたるボランティア医師を1日派遣することができます
40,000円で⇒緊急事態に対応するための医療施設の運営を継続することができます
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※世界の医療団へのご寄付は、寄附金控除の対象です
あたたかいご支援をお願いいたします。