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台風と豪雨 被災地支援 -福島を襲った2度目の苦しみ-

10月12日から13日にかけ、東日本の広い範囲に甚大な被害をもたらした台風19号。世界の医療団は、福島県いわき市で被災された方々の支援を開始しました。

過去最強クラスの台風19号が襲来してから1か月が経過しました。
台風は、世界の医療団が今も支援を続けている東日本大震災の被災地、福島県いわき市にも水害をもたらしました。被害の範囲、規模は大災害レベルではなかったものの、時間が経過するにつれて、被災した住民の方々のニーズに対応しきれていない現状が浮き彫りになってきました。現地調査に入り、特に、私たちが強みとする災害後のこころのケアが手薄になっている状況が明らかになったことから、支援の開始を決定しました。


いわき市

福島県いわき市の被害状況(2019年10月31日現在)

*いわき市ホームページ「災害報告書」


死者 8人
住宅被害

全壊2棟
床上浸水3,914棟
床下浸水619棟



台風と豪雨 被災地支援



現地レポート 健康運動実践指導者 小松原ゆかり


健康運動実践指導者 小松原ゆかり もし自分の目の前に2メートルをこえる黒い濁流が襲ってきたらどんな感情が芽生えるだろう。そう、恐怖だ。そして、命の危険。

死ぬかもしれないと感じるような状況を経験した方に、こころのケアは不可欠です。今回は台風が2度、豪雨が1度と3度の被災をされた地域があります。1度目に死ぬかもしれない恐怖を経験した方は、雨が降るたび、警報が鳴るたび、どのような心理状態になるでしょうか。
私が、今回こころのケア活動をすべきだと強く感じた理由は「福島の方は複数回、被災をしているから」です。東日本大震災で避難生活を経験した方は、「避難」という言葉を聞いただけで、せっかく9年かけて積み重ねてきた人生を、また1からやり直さなければならないのかということが頭をよぎるそうです。避難したほうがいいことはわかっていたが、どうしても避難所に入ることができなかった、という方も多くいらっしゃいました。
支援をするか否かは、災害の規模で判断すべきではありません。特にこころのケアは、「ニーズがあるのはわかっているが今はそれどころじゃない」と言っていられるような問題ではないのです。
生活再建とともにこころのケアも同時に支援を進めていく世の中に変えるならば、今。支援の必要性の本質を見抜くことができるのは、数々の災害をみてきた私たちの強みです。


世界の医療団の活動


いわき市内4か所の避難所を中心に、健康相談を実施します


台風と豪雨

直ちに医療を必要としていなくても、ご本人も気づいていないニーズが隠れていることがあります。看護師が一人ひとりと丁寧に向き合い、体とこころのケアを行います。

また、高齢の方や持病をお持ちの方、妊婦の方など、特別な対応が必要な方々には、行政や民間の適切なサービスへ繋げます。



在宅で避難生活を送っている方々の訪問活動を行います


台風と豪雨

体とこころの状態をお聞きし、必要があれば適切な医療、福祉サービスに繋げます。また、在宅では行政サービスなど各種情報が届きづらいため、それらの収集、提供を行います。





私たちが避難所で出会ったある高齢の女性は、東日本大震災の津波で家を失い、その後、いわき市に移り住んだとのことでした。女性は今回の台風で家が水害に遭い、こんどは公営住宅に移るそうです。それでも「ここには食べ物もあって不自由はない。この避難所はありがたい」とおっしゃる女性に胸が締め付けられます。

一度失った生活の再建には非常に大きな力を必要とします。東日本大震災後、さまざまな困難を抱えながらも新しい生活をスタートした方々を再び襲った今回の台風。2度目の苦しみの中にある方々の「こころのSOS」に私たちは耳を傾け、寄り添います。


どうか、私たちの活動に皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

*世界の医療団へのご寄付では、所得控除または税額控除の寄付金控除が受けられます。
*世界の医療団は、受け取った寄附金を特定の支援プロジェクトのみに充てることなく、
頂戴した寄附の総額を支援活動全体に分配することを原則としています。