ブルガリア・ハルマンリ難民キャンプの今:学校は?医療は?難民たちが、一番望んでいることは?

3月初旬、世界の医療団UKの広報担当Shyamantha Asokanはブルガリア最大の難民キャンプ、ハルマンリを訪れました。



約2500人が暮らすハルマンリで、世界の医療団は医療を提供している唯一の組織です。私たちの診療所では1日80~100人の患者を診察しています。ブルガリアの首都ソフィアでも、私たちは3か所の難民キャンプで診療所を運営しています。私たち世界の医療団がいなければ、医師の診察を受けることが不可能な人々を日々診察・治療しているのです。

Shyamantha (写真左)はハルマンリでの活動を記録し、支援する対象の人々をよりよく知るために訪れました。「この訪問は世界の医療団にとってとても重要なものでした。親を失ったティーンエイジャーから大家族まで、私たちが支援しているたくさんの難民の方々と会い、話を聞きました。医師や、ソーシャルワーカー、通訳の方々にもその仕事ぶりをお聞きしました」

また、訪問に先立ち、支援者の皆様からたくさんの良い質問が寄せられました。それに対する回答のいくつかを下にご紹介します。


Harmanliで出会った難民たちが、一番望んでいることは?


“安全でいられること。” アフガン難民、28歳のLeena Zakhil

“勉強を続けたい。役に立つ人間になりたい。” 診療所で通訳も務める22歳のシリア人難民、Sisin Ali

“私の孫娘には、英国で大臣になってほしい!” ハルマンリに家族で到着直後に、生後3か月になる孫娘がブルガリアの病院で生まれた、シリア人難民のFarhad Hassan


Harmanli難民キャンプで世界の医療団が目にする、主な健康問題は?


「冬場は気管支炎、風邪、インフルエンザですね。トコジラミや疥癬などの皮膚病変も目立ちます。衣類を洗濯できるような熱湯や石鹸、そして清潔な場所がないからです。」 ブルガリアで我々の医療コーディネーターを務めるStephany Spindola医師は語ります。

「このような病気や病変は、混雑した状況では簡単に蔓延します。Hermanliではシングルルームに6-8人が生活するのを余儀なくされることが珍しくありません。もう一つ挙げるとすると、骨折や重症の肉離れなどです。ブルガリアにたどり着くまでに、トルコから何日もかけて国境の険しい山を越えてきた人が多いですから。」


キャンプ内に学校はあるか?


「キャンプ内のアフガン人社会が独自に、非公式の学校を作っています。ただしある家族の話では、7歳以上の子供しか対象にしていないようです。当局による公式の学校はありません。」
3月末までブルガリアのプロジェクト責任者であったThierry Dutoitは言います。「世界の医療団は医療支援だけでなく、身寄りのない子供たちを支援し、その一環として彼らが地域の学校に行けるように呼びかけています。少しずつ成果を上げ始めていますが、まだまだ課題は山積みです。」


キャンプに本を寄贈したいが、可能だろうか?NGOなど、本の寄贈を受け入れている団体はあるか?


「現在、ブルガリアには難民に本を配給する活動をしているNGOはありません。」 Thierryは言います。「 残念なことです。しかし世界の医療団の活動の重点は医療の分野での需要を満たし、人々を庇護することです。本の寄贈についてのもう一つの問題点は、英語を流暢に話す人が少なく、アラビア語、ペルシア語やダリー語を主に話す人が多いということです。」


Harmanliでの物資の供給は、どのように組織的に行われているか? 例えば、どの団体がおむつ、生理用品、本、通訳者、衣類などを供給しているか?さまざまな地域をどうやって網羅しているのか?


「ハルマンリの人々の間では、生活必需品の手に入りやすさに差が生じています。物資の配給はランダムに行われ、きちんとした計画に基づくものではありません」 とTierryは言います。「キャンプの住人は、日中は外に出るのを許されており、町には商店もあるのですが、ご想像の通り必要な物資を買う経済力がないため苦労をしています(多くのキャンプ住民が出身国では良い仕事についていた人たちであるが、今は働いていないため)。」

「現在力をいれているのは、人々が良質で清潔なシーツを使えるようにする手助けです。これは疥癬の予防にもなります。冬場、マイナス20度の寒さの時は、冬用のジャケット、靴、毛布などを持っていない、身寄りのない子供たちにこれらを配りました。」


キャンプ内では、HIV/AIDSや種々のHCVウイルスへの対策として診断・治療の指針を決めているか?


「世界の医療団のハルマンリでの活動は、緊急医療支援としてスタートしました。ですから現在はプライマリーヘルスケアや救急診療に重点を置いています。」とThierryは言います。「HCV感染者と診断された患者には薬を提供し始めました。しかし、HIVへの対応は将来の課題としています。」


大手の製薬会社ではどの会社が、進んで薬品供給への支援を行っているか?


世界の医療団はIHPなどの団体と協力して、最低価格で薬品を入手できるように活動している。しかしながら、我々は製薬会社と直接連絡しているわけではない。明らかに利益相反の可能性がでてくるので、どの製薬会社とも通常は直接取引を行わない。


シリア難民への医療支援を強化するために


皆様のご支援でできること
5,200円=衛生用品キット4セット
6,500円=治療や看護の費用(1人分)
10,000円=救急キット8セット

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